塗装加工
Technology
精密板金の工程における塗装とは
精密板金の工程における塗装は、曲げ加工や組み立てを行った部品に、防サビ、美観、表面保護などの目的で塗料を塗る工程のことを言います。
塗装の種類には、主に次のものがあります。
溶剤塗装
溶剤塗装は、一般的な塗装方法でペンキを塗る時のように有機溶剤を希釈して塗装します。部品に霧状のスプレーを吹き付ける塗装方法や、静電気を利用して塗料を付着させる方法などがあります。
塗料の種類が豊富で、細かな色味の調整も可能です。塗料の量の調節がしやすいこと、エッジ部分の塗装がしやすいこと、低コストで塗装できることなどが特徴です。
粉体塗装
粉体塗装は、有機溶剤や水を使わないで、粉末状の塗料を使う塗装方法です。有機溶剤を使わないため、大気汚染や水質汚濁がなく環境に優しいのが特徴です。温度や湿度の影響を受けにくく、耐食性など塗膜性能に優れています。
溶剤塗装と同様の、静電気を利用して塗料を付着させる方法では、塗料を塗布したあとに焼き付けて加熱することで、塗膜を形成します。
シボ塗装(シボ加工)
シボ塗装は、金属表面に凸凹状のシワ模様を付ける塗装方法で、シボ加工とも言います。皮革業界で動物の皮にシワを付けることを「シボ(シワ・皺)を付ける」と言われているのが由来とされています。精密板金やプラスチック成形の表面処理で用いられており、美観やさわり心地、滑り防止、使用による指紋の付着やキズが目立ちにくくなる効果もあります。
シルクスクリーン印刷
シルクスクリーン印刷は、専用の版を部品に押し当てて油性インクを流し込む塗装方法です。文字や線、目盛り、ベタ塗りの図形など、さまざまな形状に印刷することができます。
塗装の作業工程
精密板金における塗装の工程には、一般的に次のような流れで作業を行います。
- 塗装前処理
部品の脱脂洗浄、酸洗い、防サビのための被膜処理など、塗装するための前処理をして、塗膜が均一に付着するようにします。 - マスキング・パテ処理・研磨
製品に応じて、塗装したくない箇所のマスキング、凹みやすき間などを平らに仕上げるパテ処理・パテ研磨を行います。 - 溶剤塗装・粉体塗装の塗布
製品に応じて溶剤塗装または粉体塗装で色付けします。耐久性を上げたり、美観を向上させるための下塗り、表面を整えたりゴミ除去のための研磨、塗料の調色、上塗りを行います。 - 焼き付け乾燥処理
一般的に120℃から180℃程度の熱を加えて、焼き付け処理をします。被膜に付着している塗料に熱を加えて焼き付けることで、被膜が硬くなります。これにより塗装被膜が剥がれにくくなり、耐光性や耐摩耗性などの強度も向上します。
ケービックの加工技術の特徴
ケービックでは、製品の設計から切断・抜き加工、曲げ加工、溶接加工、仕上げ・表面処理、組み立てまでを自社工場で行っていますが、塗装設備については保有しておりません。
塗装が必要な製品のご依頼をいただいた際は、塗装の得意領域に応じて協力会社へ依頼して対応しています。
塗装工程を行う協力会社の特徴
ケービックの塗装では主に、製品を保護する防サビ、製品のカバーなどの美観、製品の表面保護などを目的とした塗装を取り扱っています。塗料を吹き付け、窯に入れて焼き付けを施すことで、塗装が剥がれにくく、美観にも優れた製品となります。
現在は、塗装加工する製品の仕様や納期に応じて、次のような協力会社の得意領域を活かして製造しています。
得意な塗装1:生産数が多い精密板金製品の塗装
例えば、1つの型で50、60個の生産数や、サイズが大きい製品の塗装が得意な協力会社と連携しています。
得意な塗装2:単発・短納期の精密板金製品の塗装
例えば、1個からの単発発注や、納期が発注から数日後など短納期の塗装が得意な協力会社と連携しています。
密な連携で塗装まで高品質で対応
ケービックの塗装工程は、塗装以外の加工と同様に、納期、品質チェックについてケービックが責任を持って生産管理を行い、連携を密にとって高品質の製品を製造しています。